学生募集

挑戦的な研究に取り組みたい学部生・大学院生を募集しています。大学院生(修士課程)の出願は8月、試験は9月です。大学院生(博士課程)の2025年度入試日程は未定です。大学院進学に興味のある方は出願期間より前に小町 <mamoru.komachi@r.hit-u.ac.jp> までご連絡ください(※研究計画書に関するコメントはしません。)。欅研究室と一緒に研究グループを構成し、多様な人と広く深く研究したいと考えています。うちの研究室では、SDS の内部進学者に加え、大学院(修士)からは多様な方に来ていただきたいと考えており、以下のような学生を募集しています。

昨年度の募集要項はこちらです。FAQ もあります。FAQ の中に、それぞれの選択科目の教科書が記載されているので、ご覧になってください。合格者には、社会科学・データサイエンスの基礎を学ぶための事前学習(ブートキャンプ)が提供されるので、入試段階で両方の分野で学部3-4年生レベルの知識が必須とされるものでありません。社会科学(経営学・経済学・法学・政治学から1問選択)・データサイエンス(統計学2問+情報学2問の合計4問から2問選択)のうち、どちらか得意な領域では学部3-4年生レベルの知識が必須であり、得意でない領域では学部1-2年生レベルの知識があれば良い、という位置付けです。過去の入試問題も公開されています。体験記を書いている人もいます(@ABC123 さん, ジョージア14さん)。

研究室について

欅研究室との違いはなんでしょうか?

小町研と欅研は同じ研究グループで、基礎勉強会や論文読み会、全体ゼミなどは合同で行なっています(2023年度は基礎勉強会を合同でスタートしました。2024年度以降は基礎勉強会に加えてさらに論文読み会と全体ゼミを合同にしました)。計算機環境も必要に応じてシェアしておりどちらの研究室に配属されてもそこまで大きな違いはありません。

一方、研究に関するミーティング(進捗報告)は両研究室で個別に実施しています。また、共同研究や受託研究に関してはプロジェクトごとに(必要に応じて他組織のメンバーと)チームを組みますので、欅研とは別に行っています(もっと言うと研究室の中でもグループが分かれます)。

大学院受験者は、実際の配属は研究テーマや研究室のバランスなどを加味して、受験後に合否とともに通知されます。受け入れ先の教員との協議によって変更することも可能です(ただし、教授会での承認が必要であり、相応の理由は必要です)。また、副指導教員(!= 修士論文の審査委員)としてはお互いの研究室の学生の副指導教員には入り合っているので(あと、全体ゼミでは両方の研究室の学生が入っているので)、学位論文の研究に関してはどちらの研究室に配属になっても、共同で指導に当たっています。

学部生は、原則として3-4年生の主ゼミは同じ指導教員になりますが、1年ごとに指導教員を変更することが可能です(ただし、教授会での承認が必要であり、相応の理由は必要です。また、年度の途中での変更はできません)。副ゼミに関しては1年ごとの履修になるので、4年生のみ履修する、あるいは3年生と4年生で副ゼミを変えることも自由です。

また、株価(あるいは離職率等々何かの)予測がしたい、それにオルタナティブデータとしてテキストの情報を使いたい、あるいはソーシャルメディアのテキストを用いた計量的な政治科学の研究をしたい、などの問い合わせを受けますが、そういう方はそれぞれの分野の先生を指導教員として入学していただき、副指導教員として小町を希望していただく(必要があれば「副演習」という制度を使ってうちの研究室の勉強会等にも出てもらう)ほうが良いと考えています。というのも、やりたいのが何かの予測の場合、必ずしもテキストデータが効果的であるという保証はないので、取り組んでみてテキストデータを使う効果が薄いとわかったときに研究を続けるのが悩ましくなるためです(上記のように指導教員の変更をすることは可能ですが、途中で変更すると場合によっては1年分くらいの研究内容を失い、2年では修士を修了できなくなります)。一方、有価証券報告書のような文書に含まれるテキストデータを解析したい(それがどのように役に立つかはともかく、興味があるのはテキストの方であり、テキストを使うなら分野は特に問わない)という場合はうちの研究室や欅研究室を希望されると良いかと思います。

博士後期課程の学生は受け入れていますか?

はい、受け入れています。また、博士課程に進学希望の修士の受験生は歓迎しておりますので、気軽にお問い合わせください。※現在 SDS の博士後期課程の入学定員が少ないので、受験いただいても受け入れられることは保証できません。たとえば、博士1期生の入試は倍率2倍弱あり、必ずしも全入というわけではありません。

博士後期課程に進学する人については、必ずしもアカデミアに残りたい(研究を続けたい)という人のみに来てほしいとは思っていません。データサイエンスを活かすことのできる様々な職場(企業、官公庁等)で国際的に活躍してほしいと思っています。一方、データサイエンスの教育を受けた人が大学でデータサイエンスを教えるようになる時代が来る、ということも期待しているので、大学教員になりたいという人の進学も歓迎しております。都立大の研究室では、博士後期課程に在籍した17名のうち14名が博士号を取得し(フルタイムの学生は全員博士号を取得し)、うち2名が大学教員になり、残り11名は大学・研究所・企業等で研究を続けています。

一橋 SDS 以外で修士号を取得し(あるいは取得見込みで)、うちの研究室の博士後期課程に進学したい人の目安としては、入学までに(日本語・英語等言語を問わず)査読付き論文誌または査読付き国際会議(フルペーパー)への投稿経験があることを原則的に求めるつもりです。採録経験があることは望ましいですが、必ずしも必須とはしません。意図としては、それなりのボリュームの研究をして論文を書き、査読を受けるという場に挑戦するという経験を踏まえた上で、それでも進学したい(論文を書くという行為にしばらく腰を据えて取り組みたい)と思う人に来てほしい、ということです。

上記の経験がない方については、(SDS では一般的な研究生の制度がないため)修士課程をご案内します。または、業務として共同研究が可能であれば、論文を共著で書く共同研究としてお受けすることができるかもしれません。

2025年度以降は、社会人博士の方も受け入れております。どのような形でやるかについてはケースバイケースなので、お問い合わせください。※D1 の春夏秋冬学期全てに金曜日の午後に対面での出席が必要な科目が配置されていて、修了までに単位の取得が必要なので、ご注意ください。

SDS の博士後期課程の1期生9名のうち、外部進学者を含む4名が JST SPRING に採択されており、ある程度の経済的支援は大学からもあります(大学以外に、研究室でお給料をお支払いして研究開発のアルバイトや後輩のメンターをしていただくこともあります)ので、進学希望の方はお問い合わせください。

配属前にやった方がいいことはありますか?

大学院からいらっしゃる場合、入試を突破できる程度の知識があるのであれば、特にありませんが、学部生の人については、卒業論文・卒業研究は、入学後の研究とダイレクトに関係ないテーマであっても、しっかり取り組んでください。特に理系の学部の場合、論文の書き方はどの分野でも大きく変わらないので、配属された研究室で指導を受けられるのであれば、どんな研究テーマであっても貴重な経験になります。もし学会発表もさせてもらえるのであれば、ぜひ学会発表にもチャレンジしてください。

一方、入学前から計算言語学・自然言語処理の研究に取り組みたい、という人がいたら、合格後にご相談ください。都立大では入学前から一緒に研究をして、3月の言語処理学会で発表し、その成果を国際会議で発表する学生も珍しくありませんでした(卒業研究とは別に取り組むケースと、指導教員の先生と相談の上で卒業論文として取り組む場合と、両方ありました)。2025年入試の学生までは、一定の基礎知識のある合格者については合格後の希望者は研究に取り組んでもらう、というやり方を継続する予定です(SDS の内部進学生が修士を受験する2026年入試以降は止める予定です)。

学部3年生で主ゼミとしての配属を希望する場合、SDS の1-2年次配当の「データサイエンス科目」は広く履修していただきたいです。それ以外は好きな科目を履修していただければ良いです。時々 SDS Slack で研究室のアルバイト(データ作成のアノテーションや、プログラミング等の研究開発)を募集するので、そちらにご参加いただいてもいいですが、せっかくなので学内外の色々なことに取り組んでみてください。

大学院受験について

社会科学系の知識は必要でしょうか?

一橋のソーシャル・データサイエンス研究科の特長は、社会科学の知識とデータサイエンスの知識の両方を組み合わせて問題解決に当たる力を養う、という部分にあります。

一方、必ずしも修士の入学段階で両方の知識が必要ということはありません。データサイエンス(統計・情報)の学部生レベルの知識がある人は、社会科学系で必要とされる知識は学部1-2年生レベルであり、教科書を1-2冊読んで理解していればいい、という程度です。入学後には社会科学系の単位も取らないと修士号に必要な単位が揃いませんので、受験時の知識というよりは、学ぶ意欲があることを重視します。大学入試を理系で選択し、入学後は専門分野以外はあまり履修していない、という人は、高校の「政治・経済」や「現代社会」の教科書を2-3冊読んでみると、割と効率的に必要な基礎知識が得られると思います。

具体的には修士の入試の過去問が公開されているので、ご覧ください。理工系出身の人の目安としては、大学の教養の授業で期末試験一発勝負の「法学」「政治学」「経済学」「経営学」というような授業を受けたとして、単位を落とさない程度の答案が書ければいいです。

ちなみに、これまで理工系出身でうちの研究室を第一希望で受験した人は全員修士の入試には合格しているので、理工系出身の方であれば学部時代に教養科目としても全く勉強していなかった、という人でも十分対応可能です。

データサイエンス系の知識は必要でしょうか?

(繰り返しですが)一橋のソーシャル・データサイエンス研究科の特長は、社会科学の知識とデータサイエンスの知識の両方を組み合わせて問題解決に当たる力を養う、という部分にあります。

そして、必ずしも修士の入学段階で両方の知識が必要ということはありません。社会科学の学部生レベルの知識がある人は、データサイエンスの学部1-2年生レベルの知識があれば良いです。一方、注意していただきたいのは、統計や情報分野は積み重ねが必要な分野であり、学部1-2年生レベルの知識を身につけるためには高校生レベルの知識も(漏れなく)身につけている必要があるので、教科書を1-2冊読んで理解していればいい、という程度ではなく、教科書1-2冊の演習問題を含めて解けるレベルが必要である、という点が異なります。

計算言語学・自然言語処理の研究をするためには(社会科学系の知識は入学前は「あればいい」という程度であるのに対し)統計や情報分野の知識が必須であるため、入学前の知識によっては研究に至るまでにかなり勉強をしなければならない可能性もあります(こういう研究がやりたい、と思っていても、能力次第では修士の2年間だけで取り組むことができず、博士進学を前提に考えていただくかもしれません)。これは学ぶ意欲だけではどうしようもない場合がありますので、事前にご相談ください。

修士の入試の過去問が公開されているので、ご覧ください。人文社会科学系出身の人の目安としては、統計問題を1問だけ選択しようと思っている人は統計検定2級、2問選択しようと思っている人は統計検定準1級に合格する程度の勉強をすると良いです。また、情報学問題を1問だけ選択しようと思っている人は(応用ではなく基本情報技術者試験、2問選択しようと思っている人はそれに加えてディープラーニング検定 E 資格(G 資格ではなくに合格する程度の勉強をすると良いです。人によると思いますが合計100〜300時間程度の勉強が必要になりますので、計画的に勉強してください(多めに300時間と見積もって4年生になってから勉強をスタートして4-8月の5ヶ月しかないと、月60時間=週15時間勉強する必要があり、そこそこ大変です)。学生の人は松尾研の Deep Learning 基礎講座グローバル消費インテリジェンス講座が無料で受講できますので、履修申し込み期間に留意して申し込んで受講すると良いです。必要な知識や独学方法は業種別の学習ロードマップの「研究者・データサイエンティスト・エンジニア」をご覧ください。

ちなみに、これまで人文社会科学系出身でうちの研究室を第一希望で受験した人の中には、不合格になった人もいますので、統計・情報学分野については(特に大学入試も理系で勉強してきておらず、かつ学部時代に数学系の授業を受けていない人は)しっかり準備してください。

SDS の学部生であれば1-2年生の授業をしっかり受けていれば特に問題ないと思います。

英語のスコアは必要でしょうか?

はい、英語を母国語(!= 母語)としない受験生については英語 (TOEFL または IELTS) のスコアが必須となっています。

都立大時代は研究室あたりで出願を許可できる人数が決まっていたために、文系の人は TOEIC 785点未満、理系の人は TOEIC 650点未満の方は機械的に出願をお断りしていましたが、一橋では出願に教員の許可は不要なので、スコアの提出があれば出願は受け付けられます。

一方、本研究室で入学後に読む論文の99%は英語で書かれており、修士論文相当の研究は英語で論文を書いてもらう予定なので、上記と同程度の英語力、つまり CEFR B2 以上(TOEFL iBT 72点以上、IELTS 5.5点以上)は研究を進める上で必要だと考えています。ただし、英語は入試のためにスコアを上げようと思って上がるものではありませんし、入学後に使う機会が無限にあるので、入試の目的で英語を勉強するくらいなら、統計または情報学の試験の対策をしてください。統計や情報学も入学後に使う機会が無限にありますが、英語ができなくても授業についていく(単位を取る)ことは可能であるのに対し、統計や情報学ができないと授業についていく(単位を取る)ことが困難であり、研究をすることも難しいからです(研究テーマは英語を使わないようなテーマを設定することは可能です)。

留学生を受け入れていますか?

はい、計算言語学・自然言語処理は言語を扱う学問なので、留学生を大いに歓迎しています。一方、SDS 研究科の修士の受験には、日本の大学を卒業していない場合は出願時に JLPT N1 の試験を受けておくことが必要ですので、海外の大学出身で、JLPT N1 を受けていない方は、すみませんが修士課程は受験いただくことができません(JLPT N1 に合格している必要はありませんが、修士の筆記試験のうち社会科学分野は日本語で記述しなければならないので、JLPT N1 相当の日本語力がなければ合格は難しいと思います)。

SDS 研究科の博士の受験には、日本語能力は問われません。研究計画書の記載は英語、口頭試問も英語によって行われます。入学後も、基本的には英語のみで学位が取得できるようになっています。ただし、研究室では日本語を喋る学生の方が多数派なので、日本語が喋れた方が有意義な学生生活を送れると思います。

また、一橋大学は私費の研究生は受け入れていないので、お問い合わせいただいても研究生としては受け入れることができません。文科省国費留学生等の公的な奨学金に採用されている場合については、研究生として受け入れ可能な場合もありますので、お問い合わせください。

社会人を受け入れていますか?

はい、多様な出身の方に来ていただきたいと思っているので、歓迎しております。一方、SDS 研究科は授業が対面で行われるため、退職または2年間休職して修士課程に専念するのでない場合は、履修に関しては事前にご相談ください。長期履修制度を活用することで、在職のまま少しずつ単位を取ることも可能です。(※社会人の人でも対面の授業が履修しやすいように、修士の講義は月・火・金の週3日に集中的に配置されています。また、2027年度入学の方から社会人の人でも履修しやすいようにさらに拡充される予定です。)

博士についても社会人博士の方は2026年4月入学以降は広く募集しますが、金曜日の午後に対面での出席が必要な D1 配置科目(春夏秋冬学期全てに)存在し、必ずしも1年目に取得する必要はありませんが、修了までには必ず単位を取得する必要があるために、ご注意ください。

研究については、長期履修だと研究テーマによっては他の人に先を越されて新規性がなくなり研究として成立しない、というような展開が予想されるため、長期履修を選択する場合はそれでも大丈夫な研究テーマ(他にやる人がほとんどいないと想定されるブルーオーシャンな分野)を相談しながら考える必要があります。あるいは、研究の部分だけは半年ほど完全に仕事をお休みして研究のみに没頭できる期間を確保していただく(短期決戦で集中的に研究する)必要があります。

2025年現在自然言語処理を取り巻く環境の流れが早すぎるため、言語そのものに対する興味がある、という方以外は長期履修前提での入学はお勧めしません。というのも、1年で手法やアプローチが全く変わってしまうこともありうるので、時間をかけて研究することに向いていないのです。開発業務に活用できるような知識を得たい、というのであれば短期集中で取り組んでいただいた方がいいです。

研究室見学をした方がいいですか?

研究室見学は合否には全く関係ありませんので、研究室見学をしなかったからといって不利益はありません。

一方、研究室配属後にどのような環境であるかは見学していただいた方がいいので、特に大学院からの進学希望の方は、小町まで連絡をいただければと思います。小町と話すだけではなく、研究室の学生と話していただくことで、入試に関する情報や入学後の授業の雰囲気、どのようなスタイルで研究をしているか、等々について直接聞いていただきたいと思っています(ポジティブなこともネガティブなことも含めて研究室のメンバーと自由に話せた方がいいと思うので、研究室に案内したあと、小町は退席します)。

試験までに半年以上ある場合はぶらりと来ていただいておりますが、試験まで半年を切っている場合は研究室見学の1週間前を目処に研究計画書を提出していただきます。当日は提出いただいた研究計画書をもとに研究テーマについてのディスカッションやマッチングを行います。

研究について

研究計画書には何を書けばいいでしょうか?

研究計画書を書くために、特に小町が共著となっている過去の論文を読み込んで書く必要はありません(出版されたものは小町にとっては過去の研究です)。研究計画書は論文執筆とほぼ同じフォーマットで書くものであり、皆さんに研究能力があるかどうかを見るために書いていただくものです。一般的な話ですが、下記の5つがしっかり書かれていることが重要です。

口述試験では研究計画書の内容に基づいて質疑応答を行い評価しますので、研究計画書に書いた内容については説明できるように準備しておいてください(例えば、記載してある手法について、具体的に説明できなければ減点ですし、先行研究について質問して、適切に答えられなければ悪印象です。)。

研究室で重点的に研究したいテーマとしては、下記のようなテーマを考えています。

ただし、研究計画書は上記のようなテーマ以外はだめ、という意味ではなく、おもしろそうなテーマであれば何でも大歓迎です。ぜひ自分の情熱を持った研究計画についてアピールしてください。

なお、研究計画書に関しては、お送りいただいても小町は細かくコメントを入れてお返ししたりすることはしません

研究テーマは自分でやりたいことができますか?

はい、修士の研究テーマについては、入学後にご自分で考えた研究テーマができるようにサポートいたします。NAIST/都立大時代は、研究計画書に書いた内容で修論を書く人は1/3、関連するが違う内容(たとえばタスクは同じだがアプローチが異なる)で書く人は1/3、全然違う内容で書く人が1/3でした(一橋の研究室1期生では、1/4が研究計画書に書いた内容をやり、3/4は全然違う内容に取り組んでいます)。あまり専門分野の知識がない状態で研究計画書を書くことが多いですが、入学後に先輩の話を聞いたりしていると、他にも面白いテーマが見つかって、そちらで研究する、という人が大半です。研究計画書に書いた内容を必ずやらなければならない、ということはありません入学後4月のうちに副指導教員を決めるための面談を行います。

一方、学部3年生・修士1年生で自然言語処理の研究のバックグラウンドのない方には、最初の研究としては、研究室で取り組んでいる・取り組みたいと考えている研究テーマの中から選んでいただき、大学院生のメンターの指導のもと取り組んでもらいます(フルタイムの学生のみ)。下記の「研究室生活について」にも書きますが、修士1年生は原則として全員8月末〜9月に開催される自然言語処理の若手の会シンポジウム(YANS)または東大・科学大と合同で行なっている研究会等でポスター発表をしてもらうつもりです。一度対外発表を経験していただいた上で、改めてどういう研究をやりたいかを相談しましょう。

取り組むべき研究テーマにそこまでこだわりがない、という方については、この辺りの論文を読んでみたら、というような提案をして、ある程度ご自身で論文を読んでいただく前提で、未解決の研究テーマをいくつか提示する、ということもあり得ます。進学してみたら入学前にやりたいと思ったことが違った、進学してから研究を始めて実験してみたがうまく行かなかったので途方に暮れる、など色々なケースがありうるので、その場その場で相談しながら、どのようにやるかを確認したいと思います。

社会科学とデータサイエンスは両方やらないといけませんか?

はい、できれば何らかの形で両方の分野にまたがるような研究をしてください。例えば自然言語処理分野で考えると、大規模言語モデルに関する研究開発一つとっても、開発に必要なデータの著作権であれば法学、生成された出力の倫理的な問題であれば政治学、大規模言語モデルの訓練に関する電力消費や GPU 等の調達コストであれば経済学、AI 利用によって働き方を含めた社会変革であれば経営学、みたいな形で色々な分野とつながりがあります。自然言語処理分野の主要国際会議においても、2022年以降は Ethical consideration や Limitation を書くことが必須となってきています。工学的な観点のみで尖った研究をしていればよい、という時代ではなく、自分のしている研究が世界の中でどのような位置づけであるか、周りにどのような影響を与えるのか、ということを意識してもらいたいと考えています。

一方、「ソーシャル・データサイエンス」の「ソーシャル」部分は社会実装に関する取り組みも含まれ、実社会への応用やインパクトを見据えたデータサイエンス的な研究もフォーカスに入っておりますので、社会科学的な要素が一切ないので向いてないかも、と悲観する必要はなく、研究のかたわら起業したい、開発を意識した研究がしたい、という方も歓迎です。

国際会議で発表できますか?

はい、小町は10年間都立大学で研究室を運営してきましたが、学部4年で配属されて修士2年間の合計3年間いた人は、8割程度の人が国際会議で発表したので、普通に研究していれば発表できると思います。修士から都立大に来て2年間いた人は、7〜8割の人が国際会議で発表したので、特に大きな差はありませんが、国際会議に投稿するのが修士2年生くらいになることがほとんどであり、例えば新卒で就職活動をする際には特にプラスにはなりませんし、投稿は修士のうちだが採択・発表は修士号を取ってからになることもあります(就職先によっては発表が許可されないこともある)ので、ご注意ください

ちなみに、発表にかかる国際会議の参加費や旅費は、卒業していたとしてもすべて大学(研究室の予算)から出しますので、皆さんの負担はありません。

研究室生活について

インターンシップに行って良いですか?

はい、小町自身は学生時代に NTT 研究所、Yahoo! JAPAN 研究所、Microsoft Research、Apple などでインターンシップをしており、研究開発関係なく長期間(少なくとも1ヶ月以上)のインターンシップをすることを奨励しています。また、大学院生は海外でのインターンシップや留学にも積極的に挑戦してもらいたいです(特に博士課程の学生)。大学の中に閉じた研究だけではなく、実際のデータを使った仕事や、大学では使えないような計算資源を使うこともできるので、どんどん挑戦してもらいたいと考えています。

一方、大学院生は、研究の基礎が固まっていないうちにインターンシップに行くことはお勧めしておりません。大学院生については、何らかの形での学会発表を経験するまでは、インターンシップではなく研究に取り組んでいただくことをお勧めしています。具体的には、卒業論文や卒業研究を学部生のうちに学会発表している人に関しては、M1 の夏休みにインターンシップに行くことは妨げませんが、全く学会発表をした経験がない人については、8-9月に開催される NLP 若手の会シンポジウム(YANS)での発表までは、研究に集中していただきたいと考えてます(ただし、インターンシップに行きつつ同時に研究もして学会発表している学生も複数いるので、両方こなす覚悟のある方は大丈夫です)。学部生については、特にこのような制約を課すつもりはありませんので、自由に行きたいところに行ってください(ただし、インターンシップの時期・期間によっては、卒業研究のテーマ選択に関して制約を課す可能性はあります)。

主ゼミではどんなことをやりますか?

学部3年生で主ゼミ生となった場合、2年間のうちに1回は筆頭著者として学会発表してもらうことを想定しています。学部3年前期は研究室の基礎勉強会に参加してもらい、希望に合わせて夏休みくらいから研究をしてもらう予定です(夏休みインターンシップ等に行きたいという人は、後期から)。研究テーマは研究室からいくつか提案した上ですり合わせを行うつもりです。

学部4年生では、学部3年生のうちに国内で学会発表をした人は、国際会議での発表または論文誌への投稿を目指してもらいます。そうでない場合も、学部4年生のうちに少なくとも国内で学会発表できるように研究を進めます。逆に、学部生のうちに研究を1サイクル回し終わっていれば、新しい研究テーマに取り組むことも奨励します。

副ゼミ(副演習)ではどんなことをやりますか?

1年目(B3/M1)春夏学期は基礎勉強会を行います。秋冬学期は論文紹介を行います。

2年目(B4/M2)についてはまだ詳しく詰めていませんが、主ゼミ生とほぼ同様で、論文を書くときに筆頭で書くか書かないか、くらいの違いを想定しています。2年間で何かの論文の共著者として論文を発表する、というあたりをイメージしています。ただし、共著の場合は学会参加に対する旅費や参加費の支援は研究への貢献度を考慮して支給します(主ゼミ・副ゼミ問わず、筆頭著者の場合は全額支給します)。

欅研の人は B3 の副ゼミでは基礎勉強会(春夏)や論文紹介(秋冬)を共通で行う予定です。欅研の人は副ゼミとして履修しようがしまいが特に負荷は増えません(履修しなくてもやることは同じなので、単に CAP で他の授業が取れなくなるのが困る人は登録しないでいただければいいです)。欅研の方の B4 の副ゼミをどうするかは未定です。

どれくらい研究に時間を使うことを想定していますか?

B3/M1 では授業期間中は週10時間程度(うち4-5時間は勉強会やゼミ出席)、B4/M2 では週20時間程度は研究室の活動(勉強会ゼミ・進捗報告の出席、それらの準備含む)に時間を使っていただくことを想定しています。個別性が高いので個人の状況に合わせて調整していますが、毎週の進捗報告で次回までに取り組む内容を相談して決めますので、毎週ある程度コミットしていただく必要があります。これを多いと思う方は社会科学・統計学系の研究室を志望された方が良いと思っています(情報・AI系の研究室からすると、これは少ない要求である想定です)。

一方、進捗報告は単なるペースメーカーであり、どれくらい進めるためにどれくらい時間がかかると想定し、実際どれくらいの時間をかけたらどれくらいできたか、ということを毎回予測しつつ取り組んでいただいているので、今週は体調が悪かったので進まなかった、あるいは来週は用事かあるので時間が使えない見込み、というのは全然構わず、予測の精度を上げていっていただければと思っています。常に max で時間を確保できるという想定で見積もりの予測を外し続けるのは意味がありませんし、毎回確認する TODO が変わらないというのも意味がない(適切な粒度にブレイクダウンできていない)ので、適切な粒度で適切なスケジュールの短期・中期的な目標を立てる、という練習をしてもらいます。

副ゼミ・副演習の履修生に関して、欅研以外の副ゼミ・副演習授業期間中は週10時間程度研究室の活動に時間を使っていただくことになりますので、履修に当たってはご留意ください。

ゼミの選考はどうなっていますか?

2025年(2026年4月配属)のゼミ選考は、以下の手順で行う予定です(SDS の研究室の最低配属数が4名だった場合)。

研究室の研究環境はどうですか?

2025年4月現在、国立キャンパスのマーキュリータワーの3605室に研究室のポスドク・学生室があります(うちの研究室の人しかアクセスできません)。また、同じマーキュリータワーの3401室に鈴木研・欅研との合同学生室があります(3研究室の人がアクセスできます)。共用設備として SDS の大学院生は小町の居室である東本館230室の前の Forum/Lounge も使えますし、マーキュリータワー内の SDS の院生室も(自治会に入れば)使えます。

大学院生には MacBook Air/Pro を1台貸与し、各座席には27インチディスプレイがあります。また、2025年4月現在学内にサーバ室があり、4U のサーバ2台とワークステーション2台に RTX 6000 Ada/RTX 6000/Quadro RTX 8000 が合計19枚稼働しています(うちの研究室の専有計算機ですが、欅研の人も使えます)。2025年度に新規に GPU サーバを増強予定です。また、OpenAI/AWS/GCP API の研究室アカウントもあります。ChatGPT Team および Overleaf も契約しています。